【京都検定】古都学び日和

癒しと気づきに溢れる古都の歴史散歩

【神泉苑】気持ちが洗われる聖地

1月なのに梅雨のような天候。きっと浄化の雨。

龍神さまに会いにいってみよう、と思い立ちました。

Location

二条城の南側 押小路通御池通の間

最寄り:京都市営地下鉄東西線 二条城前

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門をくぐって、空を見上げたとたん、厚い雲の中から鏡のような銀色の太陽が顔を見せてくれました。

雨の雫がついた椿が凛として、爽やか。五月の強い日差しの中訪れたときには、池の龍頭船めがけて光の柱が降りていました。その時と同じく、清々しい気に満ちています。

神聖な雰囲気に浸るだけでも充分ですが、縁起を知ると、間違いなくここが歴史の舞台だったことが分かります。かの有名人たちが息づいていた現場だと思うと、感慨深いですね。

History

延暦13年(794) 

桓武天皇の平安遷都と同じ頃、大内裏南東に巨大な苑池として造営される。清らかな泉が湧いていたことが「神泉苑」の名の由来。

弘仁3年(812)  

嵯峨天皇の「花宴の節」が、記録に残る花見の初出 (『日本後紀』)

◆天長元年(824) 

淳和天皇の命により弘法大師空海が祈雨。善女龍王を勧請して雨を降らせた。

今も善女龍王が棲むという法成就池。日照りが続いても決して枯れることがないこの池が御池通」という名前の由来という説がある。

御池通平安京の「三条坊門小路」に相当する。

貞観5年(863)     

疫病大流行。貞観年間に二度御霊会が開かれる。国の数66本の鉾を立て、神泉苑の池に繰りこみ、厄払い。これが後の祇園祭発展。

寿永元年(1182) 

大日照りが続く。白拍子静御前が祈雨の舞を舞うと、三日間大雨。

水干に立烏帽子姿の静御前は、ここで源義経に見初められたという。

◆慶長7年(1602)   

徳川家康の二条城建設に伴い、神泉苑の泉が内堀に利用される。敷地積が約十分の一以下に。

 

東寺真言宗の寺院ですが、神仏習合そのものの伽藍です。

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Holy places

●本堂 聖観世音菩薩(聖観音)・不動明王弘法大師

●善女龍王社 

一つだけ願いを叶えてくれる善女龍王。その願いを念じながら朱塗りの橋(法成橋)を渡り、法成就池の対岸にあるお社にお参りすると必ず成就すると伝わる。

 

仏法の守護神である龍神空海の祈祷を成就させたように、私たちの願いの成就も助けてくれそうです。

お社の中を真正面から撮影するのは常々失礼だと思っています。ご挨拶をして、撮らせて頂きました。

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願いを念じて渡る法成橋

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拝殿の前で仲良く昼寝をする三羽のアヒル真言を唱えても起きる気配なし。

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アオサギが飛んできて、善女龍王社の屋根に止まった。神使に違いない。


 恵方社  

大歳神(歳徳神(としとくじん)を祀る祠。(歳徳神はその年の福徳を司る神のこと)

毎年大晦日に向きを変えられるとても珍しい祠で、新年の恵方に向かって参拝できる。

 

先ほどは願い事一つに限定だったので、次のお堂のご本尊名に嬉しくなりました。「増運」弁才天! ご利益追加もOKのようです。

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●弁天堂 

増運弁才天(人々に知恵や財運を届けてくださる、水の神さま)

京都案内誌『京羽二重』(水雲堂狐松子著)にも記される弁財天廿九カ所霊場のひとつ。

          

●矢剱(やつるぎ)大明神社 神泉苑の鎮守稲荷社

真言宗とともに稲荷信仰も広まったから、稲荷社なのでしょうか。なぜ矢剱大明神なのかはよく分かりません。いくつかのサイトで書かれていることですが、東寺の空海との祈雨合戦に敗れた西寺の守敏が妬んで矢を放ったが、地蔵菩薩の化身が身代わりとなって空海を救った話があります。しかしそれは「矢取地蔵」として羅城門跡(旧街道「鳥羽の作り道」の起点)に祀られています…。今度、寺務所の方に尋ねてみます。

【追記】1か月後、再訪した際に寺務所の方に尋ねました。この神社は明治時代に建てられたもので、「参拝するみなさんを矢剱で守護」してくださる神様なのだそうです。

 

Relaxing scenery

雨上がりのしっとりした空気の中、樹木や椿の花が生き生きとしていました。

仲良しアヒル、全体を見守るかのようなアオサギ、人が歩いても逃げることなく水たまりの水を飲むスズメ。みんなマイペースで伸び伸びと生きています。

こうして写真をアップしても、全く同じ光景は二度とありません。

季節ごとに訪れたいものです。

鯉塚・亀塚にも、生きものたちへの慈しみが窺える素敵な寺院でした。

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最後に、ファンタジー👇

Episode

五位鷺ゴイサギ)伝説

神泉苑HPより)

醍醐天皇神泉苑行幸になったときに鷺が羽を休めていた。
帝は蔵人にあれを捕らえて参れと仰せられた。
蔵人が近づくと鷺は飛び立とうとした。
蔵人が「帝の御意なるぞ」と呼びかけると鷺は地にひれ伏した。
帝は大いに喜ばれ、鷺に「五位」の位を賜った。              
以降、鷺は「五位鷺」と呼ばれ、謡曲にも謡われるようになる。

 

👇能「鷺」で描かれている最後の場面(『面からたどる能楽百番』(淡交社)より)

‟少年や還暦を過ぎた年代は無垢の存在と見なされ、能面をつけない「直面(ひためん)」で舞う“

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官位を授かった鷺は喜びの舞を舞う

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ゴイサギ神泉苑の住民